京都新聞朝刊にコラムを掲載いただきました(11/22朝刊)
2024/11/26
京都新聞(11/22)朝刊(丹後・中丹版)にコラムを掲載いただきました。
原文は以下となります。(掲載文は文字数により校正しております)
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『勤労感謝の日にあるもうひとつの「祭日」』
11月28日は勤労感謝の日で「祝日」である。日本の伝統文化において、かつては「祭日」として最も大切な日のひとつであったことをご存知だろうか?そもそも「祝日」と「祭日」は元来区別されており、皇室で重要な祭祀を行う日を「祭日」としていた。戦後の1948年以降、「国民の祝日に関する法律」ですべての祝祭日を「祝日」という呼び名に一本化された歴史がある。
日本の伝統行事や文化の継承は、特に敗戦後から薄れていったように思う。当時の日本の天皇陛下を精神的支柱に据えた国家神道をGHQが危険視し、政教分離を徹底して行ったことから、現代の「祝日」へと変わっていった経緯がある。
11月23日の「勤労感謝の日」も、まさに「祭日」から「祝日」へと変化した国民の休日のひとつである。私も大人になるまで知らなかったことだが、今ある勤労感謝の日は、かつては最も重要な行事が行われる「新嘗祭」の日とされていた。今でも伊勢神宮を中心とした日本全国の神社で新嘗祭が毎年執り行われている。
「新嘗祭」とは、収穫した新穀を神に奉り、その恵みに感謝して国家安泰と国民の繁栄を一斉に祈る大切にされてきた日であった。春に豊作を祈り、秋の収穫に感謝する稲作を中心としてきた日本の営みの象徴的なものだ。その年の稲作の出来により、次の一年の国民の生活の行方が左右のだから、感謝し祈念せずにはいられなかったに違いない。
現代の日本人の多くが「宗教」というものに関心が低いように思うが、日本のこういった伝統行事は「何かを信じる」というものより、「何かに感謝する」という自然と湧き上がってくる日本人の精神文化ではないだろうか。「宗」には「おおもと」という意があり、物事の根本を指している。
現在は「勤労感謝の日」と置き換えられてしまっているが、もう一度自分のいのちに感謝し、新穀がいただける喜びとともに、今後も続いていく平和と安寧を願う大事な一日としたい。
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ご拝読いただきありがとうございます。
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